単なる物忘れと認知症の違い
年を取るにつれて、物忘れをしやすくなるのはある程度仕方がありませんが、それも程度の問題で、余りにも物忘れがひどくなると、認知症への不安は大きくなりますよね。
実は、「もの忘れ」と「認知症」には明確な違いがありますし、「認知症」と言ってもその状態や原因によって細かな違いがあります。
■加齢による「物忘れ」とは?
加齢に伴う「物忘れ」は、「モノをどこに収納したか思い出せない」など、体験した物事の一部を忘れることなので、なんらかの「手掛かり」や「ヒント」があれば思いだすことが出来ます。
記憶には、情報を学ぶ・覚える(記銘)⇒情報を蓄える(保持)⇒情報を思い出す(再生)の3段階があります。
加齢による「物忘れ」は、再生機能が低下することによって、覚えた事を思い出すのに時間がかかるようになるために起こります。
このように、「物忘れ」の原因は、脳の生理的な老化によるもので、「忘れっぽい」という自覚があることが認知症との一番大きな違いと言えます。
■「認知症」とは?
「認知症」による物忘れは、「約束をしたという事実を覚えていない」とか「モノを収納したこと自体を忘れる」など、体験したこと自体を丸ごと忘れる状態です。
これは、記憶構造の「情報を学ぶ・覚える」が出来なくなってしまうことによるもので、単なる物忘れと異なり、覚えること自体が難しくなってしまうものです。
「認知症」を発症するのは、何かの病気によって脳の神経細胞が変性や脱落するなど、壊れてしまうことで起こるとされており、忘れた事への自覚そのものがありません。