老人性(加齢性)難聴の特徴と原因
最近物忘れが激しくて…」「最近、新聞の字が読みにくくて…」など、年齢を重ねるとともに身体の節々に年齢による変化は現れます。
それは耳も同様で、年齢とともに聞こえは誰しも悪くなっていきます。
このような老化が原因で起こる難聴を、「老人性難聴(加齢性難聴)」といいます。
他の難聴と違うのは、「高い音から聞こえが悪くなる」「両耳の聴力が同時に下がる」「音自体は聞き取れても何を話しているか分からない」という特徴があります。
これは、音を感じる部位が阻害される感音難聴で、一般的に高音域から聴力の低下が始まります。
まだ、30代とか40歳代のころは、あまり自覚することはありませんが、50代、60代と年齢を重ねるにしたがって、しだいに、しかも確実に高音域の聴力レベルは下がってきます。このため、早期に予防することが大切です。
そして、60歳代に入ると「軽度難聴」レベルにまで聴力が低下する音域が増えていき、聞こえが悪くなったことを感じる人が急激に増えてきます。
さらに、70歳を超えると、ほとんどの音域の聴力が「軽度難聴」?「中等度難聴」レベルにまで低下してしまいます。
その結果、65∼74歳の人の3人に1人が、また、75歳以上の人は、約半数が難聴に悩んでいるといわれています。
その主な原因は、加齢に伴って、蝸牛の中にある有毛細胞がダメージを受けて、その数が減少したり、聴毛が抜け落ちたりするためです。
有毛細胞には、音を感知したり増幅したりする役割がありますので、ここが何らかの障害を受けると、音の情報をうまく脳に送ることができなくなるからです。
また、内耳の問題に限らず、内耳から脳へと音を伝える神経経路に障害が起きたり、脳の認知能力が低下したりすることも影響している可能性があります。
こうした様々な原因が複数組み合わされて「老人性(加齢性)難聴」が発生すると考えられているのです。